*本ページはPRを含みます。
むぎちゃんの初出産から1か月以上が経ちました。
母となったヤギは仔ヤギを育てるためにミルクを出すわけで。自給自足をめざす我が家としては、ヤギ乳を利用させていただかない手はナイっ!ってことで、人工的に乳しぼりさせてもらってます。
今日は、ヤギの搾乳についてのあれこれと、むぎちゃんの搾乳の様子について書いてみます~。
目次
- ヤギの搾乳って必要?
- ところで乳房炎って、なに?
- ヤギの泌乳量
- ヤギの泌乳期間
- ヤギの搾乳回数
- ヤギは搾乳嫌い?
- ヤギの搾乳方法
- むぎちゃんの搾乳で注意してること
- 搾乳の手順
- ヤギのおっぱいビフォーアフター
ヤギの搾乳って必要?
ヤギを人工的に搾乳したほうがよいかどうか?それは、仔ヤギに授乳できているかどうかと、乳房炎にかからない状態を維持できているかどうかによるのでは~?
母ヤギが仔ヤギに授乳してるなら・・・
基本的に母乳は仔ヤギが必要としてるものだから、ヒトが搾乳しなくてもOK。
ヒトがヤギミルクを飲用したいなら・・・
余剰分はありがたく搾乳させていただきましょ~。
仔ヤギがいても、母ヤギが育児放棄したら・・・
ヒトが搾って人工哺乳&人工保育するしかない~。
仔ヤギがいても、飲みきれないほどの泌乳量なら・・・
乳房炎防止のために、残ってるミルクは搾りきるのがベター。
仔ヤギがいなくて授乳できないなら・・・
死産だったり、里親へ出しちゃったとかで母ヤギが授乳したくてもできない状況なら、搾乳しないと乳房炎になっちゃうかも~。
あえて仔ヤギを人工哺乳するなら・・・
ヒトが搾乳して、哺乳びんやバケツで仔ヤギに授乳。人工哺乳は手間がかかるけれど、人懐こい性格に育つので、大きくなってからも扱いやすい というのが大きなメリット。母ヤギに子育てを任せっきりにすると、野性味あふれるたくましい子に成長するのはいいけれど、人馴れしなくて体に触れなくなるかも…。削蹄とかの健康管理がのちのちめんどうにならないために、人工哺乳するのはチョイスの1つ。
ところで乳房炎って、なに?
乳房炎(にゅうぼうえん)は、カンタンに言うと、乳房の中で細菌が繁殖して炎症を起こすコト。
乳房炎でなにが起こる?
乳房炎にかかると、ミルクの色が黄色っぽくなったり、「ブツ」といって、ミルクにツブツブした凝塊が混ざったり。ごくごく初期の段階ならミルクを搾って捨てるだけで済むこともあるけれど、原因菌は潜伏しやすい~。症状がすすむと乳房は腫れて熱をもつし、触ると痛いから『ヤメテッ』重症化すると全身症状とか死亡するコトも。
乳房炎にかかったヤギのミルクを飲んでも美味しくないらしいし、おなか壊して下痢ピ~。もちろん、仔ヤギは乳房炎にかかった母ヤギのミルクなんて飲めないし、間違って飲めば下痢したり、最悪の場合、命にかかわるコトも。
乳房炎で汚染された乳汁が手とか道具について、ほかの乳房やほかのヤギに感染するコトがあるから要注意。
乳房炎の原因でよくあるパターン2種類
【1】搾乳も授乳もしない日が続くなどして、乳房の中に残ってる古いミルクに、細菌が繁殖するパターン。
【2】搾乳後に乳頭口が開いてる状態で不潔な環境に座って、乳房に細菌が侵入し、繁殖するパターン。
乳房炎の予防方法
【1】の原因は、ミルクを残さず搾りきることでブロック
【2】の原因は、清潔な環境を保つことでブロック
だから、乳房炎の防止には人工的な搾乳とトイレのしつけはかなり有効。抗生物質とかの治療法はあるけれど、乳房炎は慢性化することもあるし、対処法よりも、まずは予防法。
ヤギのトイレについては下の記事でどうぞ~。
ヤギの泌乳量
ヤギが生産するミルクの量は、体の大きさに比例するみたいで、
体の大きいヤギなら1日3~6ℓくらい。
中型サイズのヤギなら1日1~2ℓくらい。
小柄なヤギなら1日500ml以下もあり。
で、やや小柄な上に貧乳、しかも初産で小食なむぎちゃんは、1回で200㎖くらい。え~と、つまりコップ1杯。小柄な体格でも、たくさん食べればもう少し出るハズだけどぉ。まぁ、まぁ。毎日たくさん出すぎても、自家消費しきれなかったり、加工が間に合わなかったりするかも。少ないくらいで、むぎちゃんへの感謝もヒトシオ~。
ヤギの泌乳期間
ヤギがミルクを出す期間は、すご~く短ければ3か月くらい、長いと2年くらい続くらしく、ずいぶんヤギによるんだね~。
基本として、母乳は仔ヤギを育てるためのもの。だから、仔ヤギが草食みはじめてからも、ミルク飲み続けてると、母ヤギの体は仔ヤギからの需要に対応するようにできてるみたい。
だから、人工的でも搾乳を続けてると、母ヤギの体は『ミルクの需要アリ』って判断するから、そのあいだできるだけ泌乳しようとしてくれるってコト。お母さんは偉大!
逆を言うと、授乳も搾乳もしないなら、早めに泌乳しなくなるってコトだぁ~。
むぎちゃんがいつまでミルクを出してくれるか、楽しみ~。ミルクを出すと栄養とられて痩せちゃうから、そのぶん食事も水分もしっかりとらないとね~。
ヤギの搾乳回数
牛の搾乳回数は朝夕2回。だから、ヤギの場合もミルクをたくさん出してくれるなら毎日朝夕2回がよさそう。そんなに多くないなら毎日1回、とても少ないようなら2日に1回でOKかも。
初産のむぎちゃんは、乳量がとっても少ないけれど、できるだけ長く泌乳してもらうために基本的に毎日1回。あんまりサボってると泌乳量が減ってきちゃうから~。
ヤギは搾乳嫌い?
搾乳されるのが平気なヤギもいるみたいだけれど、むぎちゃんは、お腹まわり触られるのが大っキライ。だから、いきなり搾乳しようとしたってトコトン逃げます。乳頭にさわるなんてゼッタイ許さないっ。
なので、むぎちゃんには餌箱付き搾乳枠に入っていただきます。コレが用意されると、美味しいものにつられながら、しぶしぶご入場~。『どーせ入らなきゃいけないんでしょ~。』
それでもむぎちゃん、搾乳枠に入ってるあいだ中、ぷるぷる震えがとまらな~い!少しずつ慣れてきても、イヤなものはイヤ。特に、乳房や乳頭に触れはじめる瞬間が『いやぁ―っ』腰はひけるし~、ついついキックキック~。ミルク受けのお鍋に足突っこんだり~。
大好物の濃厚飼料を目の前に用意されたって、搾乳中はイヤでイヤで喉なんて通らないのぉ~。だから結局、搾乳が終わって解放されてから、ゆっくりゴハンします。
あと搾乳が終わったら、むぎちゃんはそこらじゅう走りまわりたくてしょーがない!どうしてって、体が軽くなってうれし~のしばらくはかけっこタイム~。しっぽはめくれあがってシャチホコ状態、何回もジャンピングドンして、テンションマ-ックス!さわられるのはイヤでも、搾乳してもらったほうがラクになるってコト、むぎちゃんはよくわかってます。
ちなみに、搾乳はじめたばかりの頃は、何されてるか理解できないから、コワくてコワくてガクブル~。解放した直後にトイレにへ走って『安心じょ~』してました。
もちろん、この搾乳イヤイヤ期はずっと続くわけじゃなくて、何度もお産と子育てを経験してミルクもしっかり出るようになってくると、ヤギも搾乳の必要性を理解して、自分から搾乳枠へ入るようになるし、搾乳中も静かにいい子でいてくれるようになります。
搾乳枠については、また別の記事でくわしくご紹介したいと思います~。
ヤギの搾乳方法
ヤギの搾乳方法は、牛と同じで2種類。
ミルカー(搾乳機)
多頭飼育だとか、大型のヤギで乳量が多いとかなら、 搾乳時間の節約と、省力のために、ミルカー(搾乳機)という便利な機械に頼るべし。
購入するなら、牛用では大きすぎるのでヤギ用の小さめのもの。バキュームみたいなのでぐいぐい吸い取ってミルク缶に流し入れます。
ただし、キレイに搾り切れるわけではないし、安価ではないし、消毒やメンテナンスの手間がかかるし、置き場所も必要だし、電源も必要だし、上手に使わないとヤギの体に負担が…、とデメリットはいろいろ。
手搾り
我が家では今のところ1頭しか搾ってないし、乳量も少ないので手搾りで充分。それでも、親指の付け根の筋肉がつりそうになるけど~。
搾乳を嫌がらないヤギなら、ミルクを受ける鍋をおなかの下に置いて、搾乳者はヤギのうしろに座り、両手を使って2本の乳頭を同時に搾ることができます。
むぎちゃんは搾乳嫌いなので、そういうワケにいきません。ヤギ飼いママさんはヤギの左横に座って、左手で鍋を持ち、右手で乳しぼり。
で、むぎちゃんのキックが入りそうになったら、鍋に足突っ込まれないようにスッとお鍋を引きます。一瞬たりとも気は抜けな~い!
むぎちゃんの搾乳で注意してること
ストレスがかかると泌乳が鈍くなるので、とにかくやさしく穏やかに。
搾乳がイヤにならないよう、無理強いしない。
本人がヤル気になるまで根気強く説明しながら搾乳枠にお招き。
搾乳中もやさしく声かけしながら~。
なんなら歌でも歌いながら搾乳。
リズミカルに搾乳したほうが乳量も増えるんだとか~。ホント?!
乳頭はできるだけしごいたり引っ張ったりしないで~。乳房が下がると、座ったり立ったりするときに自分で乳頭を踏んづけるとかして、トラブルが起きやすくなるから~。
乳房に細菌を入れないよう、乳頭口は触らない。
搾乳後はありがとを伝えて、おいしいごほうびを食べてもらったり、おいかけっこして一緒に遊んだりします。
搾乳が終わればいいコトがある!って思うと、ヤギもがんばってくれる…ハズ?
搾乳の手順
我が家の搾乳手順はこんな感じ。
1:搾乳用具一式の準備
2:搾乳枠のセット
搾乳枠をヤギのそばへ移動 して、
足元に滑り止めマットを置いて、
餌箱に濃厚飼料とか好きな食べ物を用意するという順で。
ポイントは、ヤギに見えるように準備するコト。毎回そうしてると、パブロフのヤギ?視覚刺激からヤギの心と体は搾乳モードに~。
3:搾乳枠へ誘導
搾乳中、動きまわれないように搾乳枠へ入っていただきます。『搾乳枠の餌箱においしいものがあるよ~』ってやさしく説得しながら~。
4:首の保定
首が自由に動くとヤギがあちこちに頭ぶつけちゃうし、搾乳だってしずらい。なので、リードを使って首を保定します。
5:足の保定
ヒトもヤギも安全に落ち着いて搾乳できるように、片足を搾乳枠に固定。
https://item.rakuten.co.jp/ayahadio/4960983321195/
(ヤギの搾乳枠や削蹄枠だけじゃなく、ヤギ小屋にも重宝する金物。)
【追記】上の写真のようにむき出しの木に保定した場合、ひどく暴れると足を痛める可能性がありましたが、下の写真のように搾乳枠に配管保温材を巻くことで、よりヤギの足にやさしい保定になりました。硬くて厚みのある保温材よりも、適度に柔軟性のあるものが木枠に沿わせやすくてマルでした。
https://item.rakuten.co.jp/maido-diy/kkd-682-040-10/
(配管保温剤を使ってより安全でヤギの足にやさしい搾乳枠や削蹄枠に。)
【追記】足にロープをかける方法は、上の写真のような玉結びにはせず、下の写真のようにすると、締めやすく、緩めやすく、よりヤギの足にやさしい結び方になりました。
6:前搾り
前搾りとは~?初めに2~3搾りして、乳頭やミルクに異常がないかをチェックするコト。初めに出るミルクは、乳頭内に溜まってる古いもの。だから、細菌数が多かったり、ブツが出やすかったり。正常なミルクや他のヤギのミルクと異常乳が混ざってしまわないために、前搾りは大事なワンステップ。
前搾りの注意点は・・・
利用するミルクを入れる容器とは別の容器を使用。牛の搾乳で使うのは『ストリップカップ』と言って専用の前搾りカップ。そんな特別なものでなくても、ミルクの色や状態を確認しやすい濃い色の容器があればOK。
乳頭内に溜まってるミルクを乳房側へ逆流させないように搾り出す。
1つの乳頭ごとにミルクを破棄してチェック。
ブツが出るときは搾ってる手の感触でもわかるので注意。
もしもブツが出たら、手や道具を洗うか消毒するコト。
我が家の場合・・・
我が家は1頭だけだし、自家消費用なので、ミルクを入れるお鍋で前搾り~。黒いテフロン鍋なので、ブツが出ればすぐわかるでしょ~。
前搾りしたミルクも今のところ問題ないので、捨てないで飲んじゃってます~。他人に提供しないことと、なにがあっても自己責任、が鉄則。
7:乳頭の清拭
『清拭』と書いてセイシキ。乳頭をきれいに拭きます。我が家では、熱湯を入れたボールに布片を浸して使います。寒い時期は準備してるあいだに、すっかり冷水になってますけど~。その水で乳頭を触るごとに手を流します。
布は、使い古したシーツとかシャツとかを洗濯して5~10㎝四方に切ったもの。これなら、もともとゴミになる予定のものを使い捨てで利用できるし、わざわざペーパータオルを購入する必要もな~し。片方の乳房だけ乳房炎にかかるコトもあるので、1乳頭につき1枚。使いまわすコトはしません。
8:搾乳
ここでようやく本題の搾乳。
ヤギ乳の搾り方は・・・
ステップ1 親指と人差指で乳頭の上端(つけ根)をつまむ。
ステップ2 中指(と薬指)を使って乳頭中のミルクを押し出す。
ステップ3 親指と人差指の力を緩めて、乳頭部分に新しいミルクを迎え入れる。
ステップ4 ステップ1~3の繰り返し。
ヤギ乳搾りのコツは・・・
ミルクを乳頭から乳房へ逆流させないように根元をしっかりとつまむ。
初めは乳頭や乳頭近くの乳房をやさしく押し上げマッサージすると出やすい。
いったんミルクが出はじめたら、中指(と薬指)で乳頭口を手前に向けるようなイメージで、乳頭をできるだけ引っ張らないように搾る。
小柄なヤギは乳頭も小さいので指3本でOK。
大型のヤギなら乳頭も大きいので指4~5本を使うかも。
乳房全体を触ってミルクが残っている感触がなければ搾乳終了。
9:保定解放
足⇒首の順で固定したロープをほどいて搾乳完了。
ウシの搾乳ではプレディッピング、ポストディッピングと言って、搾乳の前後に乳頭を消毒液へ浸します。ヤギも条件によっては必要な場合があるかもしれません。
ヤギのおっぱいビフォーアフター
ヤギのおっぱいは、搾乳前と搾乳後で変身~!
搾乳前の乳房は・・・
ミルクを搾る前のむぎちゃんの乳房と乳頭は、触った感じも見た感じもぷっくり~。中身が詰まってて弾力ぷくぷく~。
搾乳後の乳房は・・・
ミルクを搾りきったむぎちゃんの乳房と乳頭は、触った感じも見た感じもぺちゃんこしぼしぼ~。
こんなふうにして、むぎちゃんのおかげで我が家でも搾乳ができるようになりました。むぎちゃんに感謝、感謝!
搾ったヤギのミルクがどんなものかについてもそのうち書いてみたいと思います~。
下の記事も参考にどうぞ~。