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今日は、ヤギの足先、『蹄(ひづめ)』についてのおはなしです。ヤギのひづめの形や、我が家のやぎーずの蹄お手入れ方法についてなど、あれこれ書いてみます~。
目次
- ヤギの蹄ってどんなの?
- ヤギの蹄の部分名称
- ヤギの蹄のお手入れって?
- ヤギの削蹄、しないとどうなる?
- ヤギの蹄トラブル
- ヤギの蹄が伸びすぎたら、どうする?
- ヤギの削蹄頻度
- ヤギの削蹄用具
- ヤギを安全に削蹄する方法
- ヤギの削蹄手順
- ヤギの削蹄のコツ
- ヤギの削蹄ビフォーアフター
- ヤギの削蹄くず
ヤギの蹄ってどんなの?
ヤギの蹄は、前から見るとチョキになってます。
上の写真で、右上にある出っ張りが副蹄。下の写真で、うしろから見るとポコポコした副蹄がよく見えます。冬が近づいて毛むくじゃらですけど~。
ヤギの足の裏はこんな感じ~。 有色ヤギだと足の裏まで有色なんだぁ~。
ちょっときちゃないじろ君のひづめ。これまたビックリするくらい柔軟に開きます。そんなに開いて痛くないのぉ~
ちなみに、ヤギの蹄は、生まれたて直後はぷにょぷにょで、赤ちゃんの時期はとっても柔らかくて、年をとるほどに段々と硬くなります。人間とおんなじだね~。
ヤギの蹄の部分名称
【内蹄(ないてい)】 地面につく部分のうち、体の中心線、つまり背骨ラインに近いほう。ヒトの手でいう中指。
【外蹄(がいてい)】 地面につく部分のうち、体の中心線、つまり背骨ラインから遠いほう。ヒトの手でいう薬指。歩き方のクセによるのか、内蹄より外蹄のほうがやや大きかったり、小さかったりします。
【副蹄(ふくてい)】 人の手でいう人差し指と小指。退化してて、地面からかなり離れたトコにあります。ストッパーになるって説もあるけれど、ホントのところ役に立ってるのかぁ~。
【蹄尖(ていせん)】 ひづめの先端。伸びてくると割れたりします。
【白帯(はくたい)】 フチの白くて硬い部分。硬さはヒトの爪のような感じ。読み方は「しろおび」ではなく「はくたい」ですよ~。
【蹄底(ていてい)】 中央のクッション部分。つまり犬や猫でいう肉球。弾力はちょっぴり硬め。
【蹄踵(ていしょう)】 かかと。体重のかかる部分だから厚みが大事。
【蹄冠(ていかん)】 ひづめのすぐ上の辺り。蹄に問題があるとココまで腫れます。
【趾間(しかん)】 内蹄と外蹄のあいだ。
漢字ばっかりで目がまわるぅ~っ。とりあえず、ヤギのひづめをお手入れするときに大事なのは、フチ部分の「白帯」と肉球部分の「蹄底」かなぁ。ほかの名称もわかってれば、電話で獣医さんに相談するときベンリかも?
ヤギの蹄のお手入れって?
ヤギのひづめはヒトでいうなら爪みたいなもの。ヒトが伸びた爪を切るように、ヤギの蹄も伸びたら切ります~。山羊に限らず、牛とか馬とか有蹄類のつめ切りを『削蹄(さくてい)』といいます。
ヤギの削蹄、しないとどうなる?
長い間ひづめを切らないでいると、巻き爪になったり、つま先が反り返ったりして、歩きづらくなります。さらに伸びると、いろんな問題が次々と起こって、病気になるコトも…。 ヤギの健康は足元から~。
ヤギの蹄トラブル
【変形(へんけい)】
内蹄と外蹄がアンバランスに伸びて、どんどん変な形になっていきます。
【跛行(はこう)】
変形するとバランスがとれなくなって、片足を引きずったり、おかしな歩き方をするようになります。
【肘歩行*(ひじほこう*)】
変形すると体重が決まったところにのしかかるコトになって痛い。。。だから、前肘をついて這うようになります。
*コレ、我が家のオリジナルやぎーず用語なので、きっと辞書にも専門書にも載ってないコトでしょう~。
【炎症・感染症(えんしょう・かんせんしょう)】
変形して入り組んだ部分に土とか糞が詰まって不潔になり、ちょっとした傷からバイ菌が入って炎症を起こしたり、破傷風などの感染症を起こします。
【趾間腐爛(しかんふらん)/腐蹄症(ふていしょう)】
炎症を起こしたところが化膿して、ついには腐敗してきます。
【歩行困難(ほこうこんなん)】
痛い足をかばいながら歩いてると、背中や腰に負担がかかって、最後は歩けなくなります。
【食欲減退(しょくよくげんたい)】
痛みからストレスが溜まって食欲もなくなり、イライラから暴力的になります。
ヤギの蹄が伸びすぎたら、どうする?
実は、雌ヤギむぎちゃんも我が家にやってきた当初は、ややマズイ状態でした。
すでに伸びすぎて変形したひづめは、数日ごとに削蹄する必要が…。何度も少しずつ削蹄して、改善できてきたらだんだん1週間ごと、2週間ごとに。様子を見ながら、半年~1年ほどかけて、次の削蹄までの期間を少しずつ伸ばしながら矯正。
2年経った今でも、できるだけ頻繁に少しずつ削蹄して矯正をつづけてます。今はかなりキレイになっているけれど、気がつかないで放置していたら、いろんなトラブルが発生してたかも~。
ヤギの削蹄頻度
ヤギが座ってるときにチェックしてみて、ひづめのフチの硬い部分(白帯)が内側に巻き込みはじめていたら削蹄時期がきたサイン。
削蹄する頻度は、ヤギのひづめの伸び方で決まります。牛の蹄なら1か月に5㎜伸びるっていうけれど、ヤギもそんな感じ。でも、ひづめの伸び方はヤギの歩く環境によって変わるから、正確に言うと、大事なのは伸び方っていうより、削れ具合かも~。
つまり、ヤギの生活してる場所がざらざら地面なら、よく摩耗するから頻繁に削蹄しなくてもいいってコト。逆に、柔らかい地面で生活してたり、歩きまわる量が少なかったりすると、蹄はあんまり摩耗しないから頻繁な削蹄が必要。
ひづめが摩耗しやすい歩行面ランキングはこんな感じ。
1位 目の粗いコンクリート
2位 目の粗い岩
3位 目の粗い砂利
5位 草
6位 土
7位 雪氷
1~3位なら、蹄がよく削れる環境だから、削蹄目安は2~3か月に1回。
4~7位なら、蹄があんまり削れない環境だから、削蹄目安は1~2カ月に1回。
我が家のやぎーずは基本的にコンクリートの上で生活してますが、それでも夏は草食みへ出かけるし、冬は地面が雪氷に覆われます。なので、やっぱり2か月に1回くらい削蹄してます~。
野生のヤギなら常に歩き回ってて、ひづめが自然に削れるから削蹄いらず。だけど、ヒトが飼育してるヤギはしょうがない~。
ヤギの削蹄用具
【剪定ばさみ】
メリット:白帯を切るときにある程度使える。刃物としては比較的安全。
デメリット:柔らかい蹄底を切るのは至難の業。キレイに仕上げるのはホボ不可能。白帯を切るにも力が必要で疲れるし、思う通りには切れない。
https://item.rakuten.co.jp/iwauchikanamonotenn/4976365120133/?s-id=bk_pc_item_list_name_n
(「除角じゃなくて、『削角』?!」の記事でも紹介しましたが、剪定ばさみとしては、かなりオススメです。軽くて丈夫で使いやすくて切れ味ヨシ!)
【カッター】
メリット:柔らかいクッション部分をス―っと薄く削げる。外側の白帯もなめらかに切れる。どこが凸部分になっているか、刃をあてるだけでよくわかる。だから、全体を平らに仕上げやすい。ひどく変形した蹄でなければ、削蹄はカッター1本でOK。安上がりっ。
デメリット:安全のために切れ味キレキレのカッターが必要。蹄に土がついてるとすぐに切れ味が悪くなり、刃を消耗する。削蹄枠と保定用具がないと危険すぎて使えない。
【括削刀(かっさくとう)】
メリット:牛用の削蹄用具はたいてい豪快すぎてヤギに使うのはムズカシイけど、括削刀なら使えるかも。本格的で見た目にカッコイイ。そのわりに価格がリーズナブル。
デメリット:手前に引くだけのスペースと体勢が整っていないと使いにくい。えぐり過ぎに注意が必要。弧を描く刃を砥ぐのはなかなかムズカシイ。右利き用と左利き用があるので購入時は間違えないように要注意。
https://item.rakuten.co.jp/auc-bokunou/6660003416/
(プロ仕様のワリには意外とリーズナブルな価格の削蹄道具。)
【ディスクグラインダー】
メリット:電動工具なのでスピーディ。高価な畜産用グラインダーでなくても、安いもので大丈夫。
デメリット:重くて扱いづらい。電源が必要。失敗したり削りすぎたりした場合のリスクが大きい。大きな機械音がヤギにとって超ストレス。
https://item.rakuten.co.jp/kaientai/mg-12/
(電動工具でヤギの爪を削るならディスクグラインダー。)
https://item.rakuten.co.jp/auc-bokunou/6660003421/
(畜産用の電動削蹄機はお値段もプロ仕様。)
【鉄工やすり】
仕上げにあると良いけれど、なくてもOK。高価な畜産用の削蹄ヤスリでなくても、安いもので大丈夫。
https://item.rakuten.co.jp/pro-tool/20042776/
(ヤギの蹄をキレイに仕上げる鉄製ヤスリ。)
https://item.rakuten.co.jp/auc-bokunou/6660003417/
(畜産用の削蹄ヤスリはお値段もやっぱりプロ仕様。売切れていたらゴメンなさい。)
ヤギを安全に削蹄する方法
大人しいヤギで落ち着いて座ってるときなら、こんな感じで削蹄~。
けど~、当たり前ながら、ヤギは生き物。暴れヤギじゃなくたって動いちゃう~。削蹄の時は刃物を使うから、ヤギにとってもヒトにとっても動くと危険。
コンベンショナルなヤギの削蹄方法といえば「仰向け式」。まぁ…、ヤギは仰向けにすると降参状態で大人しくなるのはたしか。だけど、ときどき手足をバタつかせるからゆっくり落ち着いて削蹄できないし、妊娠中のヤギだと流産のリスクも心配だし、体格の大きいヤギだと横倒しにするまでが格闘技だし、削蹄中でもヤギキック入るかもしれないし、なにより危なくてカッターは使えない。。。
我が家では削蹄する時、ヤギを保定します。保定とは、自由に動けないようにヤギの体を固定すること。搾乳枠を削蹄枠として使用して、首と削蹄する足をロープで枠に固定します~。保定用具はロープとクッションになるボロ布など。
削蹄枠があって、きちんと保定できれば、ヤギを力づくで押さえる必要もないし、ヤギに蹴られるコトもないし、ヤギが暴れて怪我するコトもないし、焦って終わらせる必要もないし、ヤギにもヒトにもストレスは最低限。一人でのんびりカッター使ってキレイに削蹄できちゃいます。
削蹄枠のデメリットとして大きいのは、ヤギの体に合うものができるまでの製作作業。あと、製作するには材料と道具が必要。保管スペースが必要。頭数が多いと、1頭ずつ誘導と保定するのはちょっぴり手間かも。
だからといって、よっぽど従順なヤギでない限り、削蹄枠なしで足だけとか頭だけをどこかに固定するのはかえって危険。ヤギは嫌がって振りほどこうとするから~。足を痛める可能性があるし、暴れていろいろ破壊したり、あらぬところに刃物が当たったり、ヒトもケガするかもしれないし、傷からバイ菌が入って病気の原因になることも。。。
安全に削蹄するための削蹄枠/搾乳枠については、そのうち詳しくお伝えしたいと思います~。
ヤギの削蹄手順
- 道具を準備する。
- ヤギを削蹄枠へ誘導する。
- 首を保定する。
- 削蹄する足を保定する。
- ひづめに泥や糞が詰まっていたら取り除く。
- 白帯をおおまかに切り揃える。
- クッション部分の凸状になってるところを削る。
- 接地面が全体的に平らに近くなっていることを確認する。
- つま先の割れやササクレを鉄工ヤスリで平滑にする。
- 足の保定をほどく。
- 首の保定をほどく。
おつかれさま~。
ヤギの削蹄のコツ
ヤギの削蹄の最終目標は、接地面を全体的に平らにすること。
カッターの刃を当てて、盛り上がり部分をうす~くスライス。
内蹄と外蹄の高さバランスを見極めながら少しずつ。
カカトの厚みは残して、伸びやすいつま先の方を重点的に。
一度にガッツリ切らない。
凹んだところはムリに削ろうとしない。
凹んだところの高さにムリに合わせようとしない。
思い切ってバッサリ切ったり、欲張ってムリに全体を平らにしようとすると、流血します。コレが失敗例。
ヤギの削蹄ビフォーアフター
ヤギのひづめ(右前足)
凹んだところは削らないので、一見するとデコボコ削り残してるように見えるかも~?でも、横から見るとまあまあ平らな感じ~。
ヤギのひづめ(左前足)
ヤギの削蹄くず
今日はココまでです。ヤギのひづめと削蹄については、まだ書き足りてないコトがいくつかあるので、追って加筆します~。よかったらまたのぞいてみてくださいね。